雑記

川崎市のヘイトデモ禁止の仮処分について

川崎市のヘイトデモ禁止の仮処分について、簡単に記しておこうと思う。 Counter-Racist Action Collective • [CRAC KAWASAKI] ヘイトデモ禁止仮処分決定書 事案の概要 本件は、川崎市の在日コリアンが集住する地域で、民族差別解消に取り組み社会福祉事業を…

井上武史の不思議な主張

不思議な主張 井上武史の以下の記事を読んだ。 憲法論議の正常化は可能なのか - 井上武史(九州大学大学院准教授) (1/2) 井上は、与党に対する「立憲主義違反」との批判に対し、その内実にまったく立ち入ることなく、このような批判は無意味であるとする。…

いかがわしさの正体

nogawamさんの以下の記事を読んだ。 歴史修正主義とレイシズムを考える: 歴史修正主義は何によってそう認定されるか 歴史修正主義的な主張とはいかなるものか、ということについて説明する記事であるが、これを読んで、私が 先日の記事で述べた、いわゆる芦…

芦田修正について

※本記事における引用にあたっては、読みやすさを考慮して表記等を改めた部分がある。 芦田修正とは何か 憲法9条の解釈にあたっては、いわゆる芦田修正が問題とされることがある。 周知のとおり、芦田修正とは、帝国憲法改正案委員小委員会が帝国憲法改正案、…

メモ:品位を欠く政治家

平成28年2月24日の中央公聴会で公述人に暴言を吐いたとして、衆議院予算委員会が同月25日、おおさか維新の会の足立康史に厳重注意すること等を決めた旨報じられている*1。 この件自体は報道に接し、問題の中央公聴会を確認するまで知らなかったのだが、「足…

緊急事態条項と押しつけ憲法論

はじめに 今夏の参院選では憲法改正が争点になる。改正の具体的な項目については不確定な部分もあるが、おそらくは緊急事態条項が俎上にのせられることになるのだろう。そこで、夏までにいくつか緊急事態条項に関する記事を書こうと思う。今回は、その制定経…

「レッテル貼り」という魔法のことば

ナチスのレッテル? 平成28年1月19日の参議院予算委員会において、福島瑞穂が安倍晋三に対する質問の中で、自民党の憲法改正草案*1第九章のいわゆる緊急事態条項について、「内閣限り(の決定)で法律と同じ効果を持つことが出来るなら、ナチスの授権法とま…

香山リカ「批判」の歪さ

香山リカ「批判」 一部界隈で、香山リカ「批判」が盛り上がっている。 香山は昨日銀座で行われた慰安婦問題での日韓合意に反対するデモへの抗議行動を行っていたところ、「批判」者は、その際の香山の表情や抗議意思の表明として中指を立てたこと等をとりあ…

条文の文言からの乖離に関する覚書

平成28年1月8日の衆議院予算委員会において、枝野幸男が安倍晋三に対して、臨時国会の件について糺していた。昨年10月半ばに、憲法53条の規定に基づく、総議員の4分の1以上による臨時国会召集の要求があったにもかかわらず、その後ついに安倍内閣が臨時国会…

今年の抱負(2016年)

年が明けた。 学生でなくなってから感じ続けていることだが、為すべきことが山積する中で、自らの専門以外の分野を修める時間を確保することはとても難しい。専門の分野でさえ、直面する問題に対処する限りにおいての調査・研究となりがちであり、視野狭窄に…

わが国における法令違憲判決まとめ

本記事について 尊属殺重罰規定事件 薬事法距離制限事件 議員定数不均衡事件(昭和51年) 議員定数不均衡事件(昭和60年) 森林法共有分割制限事件 郵便法免責規定事件 在外邦人選挙権制限事件 非嫡出子国籍取得制限事件 非嫡出子法定相続分規定事件 女子再…

左折の改憲と現実主義

はじめに 少し前に、左折の改憲論(新9条論)というものに関する記事をいくつか読んだのだった。 左折の改憲論とは要するに、こういうことらしい。現行の憲法9条からすれば、自衛隊は違憲のはずである。(違憲のはずの)自衛隊の存在を容認しつつ9条を奉ずる…

私の無力

ある記事へのブックマークコメントで、自分が生まれる前に起こった出来事について謝るということの意味について過去記事を紹介した*1ところ、id:enderukuさんより以下のようなコメントをいただいた*2。 身勝手な発言だなぁ。どうせ中韓がやった事に対しては…

憲法学者の無力

閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会の名簿に芦部信喜の名があることを知った。 昭和50年、当時の首相三木武夫が、はじめて8月15日に靖国神社を参拝した。このとき三木は、私人として参拝することを表明し、公用車を用いず、記帳の際にも「内閣総理大臣」…

窃盗症(クレプトマニア)と定職の確保

日本弁護士連合会編『日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題〈平成24年度研修版〉』(第一法規、2013年)に収められている竹村道夫「窃盗癖の概念と基礎――臨床と弁護活動の協力について――」を読んだ。 日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題[平成24年度研修版]…

自然権と天賦人権論

自然権と天賦人権論について、以下のようなブックマークコメントを見かけた。 id:Erorious_BIG←日英米など自然権を最上としている国々は天賦人権論も立憲主義も否定してるけど何の問題も無い。 はてなブックマーク - m-matsuokaのブックマーク - 2015年7月10…

窃盗症(クレプトマニア)について

はじめに 以下の記事を読んだ。 摂食障害の万引き、治療と刑罰のどちらなのか / 永田利彦 / 精神科医 | SYNODOS -シノドス-摂食障害と万引きとの関係が注目されるのは喜ばしいことだ。 私は「摂食障害の部分症状としての万引き」を特に窃盗症(クレプトマニ…

半年を振りかえって

1年も半分が終わろうとしている。 年始に述べた抱負のうち、曲がりなりにも実践できているのは「丁寧な仕事をする」ことくらいであり、「他業種との交流」「若者との交流」を深めることはほとんどできていない。 ここ1か月ほどは、「丁寧な仕事」をできてい…

「自由には責任が伴う」

自民党の稲田朋美が、集団的自衛権の問題について違憲かどうかの議論を継続することに意味がないという趣旨の発言をしたそうだ。その理屈は以下のようなものだ。 一見明白に違憲というとき以外は、日本の存立にかかる安全保障については、国会と内閣に任され…

安倍首相の「靖国参拝」観

新しい国の靖国参拝観 安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』(文春新書、2013年)を読んだ。 新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903) 作者: 安倍晋三 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/01/20 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この…

約70年越しで実現した平等

横田啓子のベアテ・シロタ・ゴードンに対するインタビュー「私はこうして女性の権利条項を起草した」(井上ひさし・樋口陽一編『『世界』憲法論文選』に収録のもの。初出は『世界』1993年6月号)を読んだ。周知のとおり、ベアテ・シロタ・ゴードンは憲法草案…

日中韓の歴史問題と謝罪(2)

先日は、「相手が納得するまで(何回でも)謝罪するべき」だとする考え方が、法的責任とは異なる観点から出るものであることについて述べた。 今日は、「当時生まれてさえいなかったわたしが謝罪する必要はない」とする考え方について述べたい。こうした考え…

日中韓の歴史問題と謝罪(1)

今月の初めごろ、韓国高官が、日本との歴史問題に関して、「100回でもわびるべき」だと述べたことが報じられた*1。 また先日は、村上春樹が、日中韓の関係について、「相手が納得するまで謝罪するべきではないか」と述べたことがとりあげられた*2。 今回は、…

フェミニズムの怒りに寛容を求めることはできるのか

id:greg_yamada(グレッグ山田)さんの以下の記事を読んだ。 「告発されたときに真摯に対応する」のは非現実的だ - グレッグ山田の文句百万回グレッグ山田さんの記事は、読ませる文章で、しかも考えるきっかけを与えてくれることが多いので、楽しみにしてい…

生活保護の開始申請について

数々の痛ましい事件によって、生活保護の開始申請を受け付けようとしない、いわゆる「水際作戦」が許されないものであるということは多くの人に知られるようになった。 ところで、許されない申請の受付拒否とは、具体的にはどのようなものであるとお考えだろ…

盗撮などで有罪の犯人が「それでも映像は捨てない」と言い張ったら

以前、id:gryphonさんの以下の記事を読んだのだった。 盗撮などで有罪の犯人が「それでも映像は捨てない」と言い張った時、どうなるの? - 見えない道場本舗 記事の内容は、表題どおり「盗撮などで有罪の犯人が映像を捨てないと言い張った場合にどうなるのか…

日弁連の主張はどこまで本気なのだろう

日本弁護士連合会(日弁連)は、誰もがご存知だろう。 しかし、日本弁護士政治連盟(弁政連)についてはご存知でない方も多いのではないか。かくいう私自身、弁政連とは今のところほぼ関わりのない人間であって、本来はこのような話題をとりあげるべき立場で…

憲法の学び方

この時期、4月まですることがないという方も一定数いらっしゃるのではないかと思う。そうした方には、この機会に憲法を学ぶことをご提案する。 先日の報道*1を見ても分かるように、ここ数年のうちに国民投票が行われる可能性は低くない*2。責任ある投票をす…

「最後の仇討ち」と仇討ち禁止令

高野の仇討ち 赤穂と言えば四十七士の討ち入りで有名である。 ところで、「高野の仇討ち」という事件が日本最後の仇討ちとして喧伝されている*1そうだが、これもまた赤穂の人士が起こしたものらしい。 発端は1862年。当時赤穂藩では、藩主継嗣問題と藩政改革…

憲法が未完であるということ

奥平康弘先生死去の報に接した*1。 記事では、「憲法はつねに未完であり、世代を超えていきいきとした社会をつくるために憲法は必要なのだ」という先生の言葉が紹介されていた。 憲法が未完であるとはどういう事か。 この点に関して、先生は『未完の憲法』の…