離婚後共同親権について

離婚後共同親権(以下、単に「共同親権」といいます)についての以下の記事に接しました。

リベラルのための離婚後共同親権に関する説明 - 誰かの妄想・はてなブログ版

正直なところ、共同親権を主張している方がどのような考えを持っているのかということについては、よく分からない部分もあります。scopedogさんは信頼できる論者だと思っているので、説明の記事を精力的にものしてくださるのはありがたいです。

上記記事については、「漏れがあれば、別途追加していくつもり」とのことなので、追加の際にいくらかでもとりあげられることを期待して、私が共同親権の主張について気になっているところをまとめておきます。

そもそも親権とは何か。

ご承知のとおり親権については民法818条以下に規定があります。それらを読むと、親権とは大ざっぱに言えば次の2つの権利だということが分かると思います。

  • 子の監護・教育等を行う権利(民法820条ないし823条)
  • 子の財産を管理し、これに関する法律行為について子を代表する権利(民法824条)

共同親権の主張とはつまり、これらの権利行使を両親が共同して行うべきだとするものであると理解しています。しかし、権利行使を「共同して行う」ということは、一方の親だけで勝手に行えないということでもあります。現実問題として、共同親権とは言っても一方の親は子と離れて暮らざるを得ませんが、いちいち離れて暮らす親と相談のうえ共同して親権を行うのは、たとえ良好な関係であってもかなり煩瑣なように思えます。加えて、離婚にまで至るような場合、両親の関係はむしろ険悪であることの方が多いでしょう。そのようなときに、一方の主張に対して他方が感情的なしこりから常に強硬に反対するために親権を行うことができない事態に陥るという懸念は、相当強く存するように思われます。

さらに、子の監護・教育等を行う権利については、そもそも離れて暮らす親に関わらせることが妥当なのかという問題もあるでしょう。監護・教育の主なものとしては身の回りの世話やしつけなどが想定されます。こうしたことを離れて暮らす親が適切に行うことは難しく、基本的には子と生活をともにしている親に任せるべきではないかとも思われるところです。

私が共同親権についてまず気になるのはこうした点です。共同親権を主張する方には、こうした点についてどのように考えておられるのかということを説明してもらいたいです。またこのことと関連しますが、共同親権を主張する方が、具体的にはいったいどのような形での関与を想定しておられるのかという点も、よく分かりません。あくまでも私の印象になってしまいますが、大半の方は、「連れ去り親」を槍玉にあげて、「非親権者は一方的に子を奪われ、会うことさえ許されない。共同親権にすれば面会の機会も確保されるのだ」といった類の主張しかされていないように思います。言うまでもないことですが、面会交流は親権とはまた別の話です。この点について状況を改善したいというだけでは、共同親権を主張する十分な理由にはなりません。面会交流だけを問題にしているわけではないということであれば、現状のどのような点に足らざるところを感じており、それを共同親権によって具体的にどう改善しようとしているのか(≒いかなる場面においてどのように子と関わることを想定しているのか)、ということを説明してもらいたいです。

以上、共同親権の主張について私が気になっているところをまとめました。多少でも参考にしていただければ幸いです。