憲法の役割とリベラル(2)

世の中の多くの場面において問題とされているのは立憲的意味の憲法であり、この意味での憲法は国家権力を制限し国民の権利を保障することをその役割としている、と述べました

さて、「憲法によって国家権力を制限し国民の権利を保障する」ということについてイメージを持てない人もいると思うので、少しかみくだいて説明します。

日本国憲法は第三章で国民の基本的人権について規定しているのですが、今回はその中から思想・良心の自由を保障した憲法19条をとりあげてみましょう。

19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

この条文は思想についての沈黙の自由をも保障するものと解されています。このことを前提に、次のような事態を想像してみてください。

国会での審議を経て、「踏絵法」が制定されました。これは、X国をわが国の存立に重大な脅威を及ぼすおそれのある危険国家と位置づけ、X国の政治思想等に共鳴しこれを利するような行為に及ぶ可能性のある者を予め把握するため、日本国内に住所を有するすべての者に対して、1年に1度、X国の政治的象徴たるPの肖像を足蹴にできるかどうかを確認する「踏絵検査」を受けることを義務づけ、検査を拒否した者には罰金を科する、というものでした。(続く)