エホバの証人の思い出

こんな匿名記事に接しました。

エホバの証人って本当にそんなにヤバいのだろうか?

いろいろあってエホバの証人を辞めたという人が、「一般人がどうしてこの宗教を危険視するのか分からない」との疑問を呈する、といった内容。

基本的には私もこの方の疑問に同調する立場ですね。憲法を勉強していると必ずいくつかこの宗教の絡んだ事件に接することになり、それらの事件から垣間見えるあれこれに照らして、私自身が入信することはまずないと思いますが、しかし外部の人間として付き合う限りにおいて、彼らに危険性があるとは思えません。

もうほとんど覚えていないのですが、記事を読んで少し私のエホバの証人に関する思い出を残しておきたくなったので記します。

学生時代のある時期、私のアパートにはエホバの証人の信者の男性がほぼ毎週(くらいのペースだったのではないかと思います)訪れていました。彼は毎回、私に2冊の小冊子を渡し、聖書の一節を読み上げ、その内容に関連するいくつかの質問を投げかけ(私がそれに応答し)、そして帰っていきました。

私は初回に「神はいると思うか」というようなことを聞かれ、少なくとも肯定的な返事はしなかったはずなのですが、彼は特段気分を害したり拒絶の意思をあらわしたりする様子もなく、私のもとに通い続けました。またその間、私は一度として集会の類に参加することはなく、彼とのやりとりは私のアパートの玄関でしか行われることはなかったのですが、彼がそのことを気にするそぶりも微塵もありませんでした。というよりも、記憶する限り、私は彼から具体的に集会への参加を呼びかけられたこと自体ないはずです。今となっては会話の内容を思い出すこともできませんが、しかし彼が私の人生(あるいは私という人間でしょうか)を良くしようと思ってくれていることは伝わってきました。穏やかで誠実な人だったと思います。

彼の訪問は、1年だったか2年だったか、それくらいで終わりを告げました。彼がその地を離れることになったのが理由です。彼は私の名前すら知らず、私も彼の名前すら知らないままでした。彼はいまどうしているのでしょうか。幸せであってほしいと思います。