地方政治家の不祥事をまとめる

はじめに

以前から感じていたことだが、地方政治家の不祥事が多すぎる。

彼らの不祥事について、怒りをぶつけては忘れるという形での消費を続けることは不毛であると思い、これをまとめることにした。

本記事でまとめたのは、直近3か月、より正確に述べれば2017年12月1日から2018年2月24日現在までに報じられた地方議員および首長の不祥事だ。所属する党や会派は原則として当時のものである。

加賀市議による名誉毀損

自民党の乾浩人・加賀市議が、インターネットの掲示板で市内の飲食店の名を挙げ「ゴキブリ入りの料理」などと書き込み、罰金30万円の略式命令を受けたもの。

産経WEST2017年12月4日の記事*1

飲食店との間に私的なトラブルがあったようだが、それにしてもあまりに幼稚である。ただ、ネット上でつい言葉がすぎるということ自体はありがちと言えばありがちで、私自身まったく経験がないというわけでもない。自戒したい。後に辞職*2

山口県議による暴行

自民党の平岡望・山口県議が、男性に暴行を加えたもの。被害男性によると、後日医師の診察を受けた結果、左足首骨折と診断されたという。平岡は、1996年から2014年1月まで安倍晋三の秘書を務めた人物。

朝日新聞デジタル2017年12月8日の記事*3

これは酒席での出来事なのだが、この件に限らず、酒席でのことだからと言って軽く見ようとする風潮はいかがなものかと思う。酒席であろうがなかろうが駄目なものは駄目と、しっかり線引きをするべきだろう。後に自民党下関支部長を辞任*4

あわら市長による既婚女性へのキスなど

無所属の橋本達也・あわら市長が、公務中既婚の知人女性にキスするなどしたもの。なお、橋本も妻帯者。

朝日新聞デジタル2017年12月12日の記事*5

橋本は本件について合意のうえだったと主張しておりその点については別途の検討を要するとしても、妻帯者たる橋本が配偶者以外の既婚女性とキスなどをするのが不適切な行為であることは、論を俟たない。後に辞職*6

川崎市議による収支報告書不提出

公明党の吉岡俊祐・川崎市議が、資金管理団体政治資金収支報告書を平成19年分から10年間県の選挙管理委員会に提出していなかったもの。

産経ニュース2017年12月25日の記事*7

吉岡は党に対し「弱い自分に負けた」などと説明したそうだが、問題と真摯に向き合い原因を分析することから逃げているからこうした抽象的な言葉になるのではないか。本件が報じられた25日中に離党・辞職したとのことだが、当然であろう。

愛知県議による暴行 

自民党岩村進治・愛知県議が、私設秘書だった男性に暴行を加えたもの。被害男性は加療1週間の打撲と診断されたという。岩村は、海部元首相の秘書を務めた人物。

朝日新聞デジタル2018年1月9日の記事*8

これも被害男性が忘年会で会計処理を手間取ったことに端を発する酒席でのトラブル。情けない。ただ、後日和解が成立しており*9、受傷の程度も重大とまでは言えないようなので、多少マシとは言えるかもしれない。問題を受けて離党。

勝浦市議による酒気帯び運転

無所属の高梨浩人・勝浦市議が、酒気帯び運転をしたもの。警察の説明によれば、物損事故の聴取において当初は運転者として供述を行っていた高梨の知人が身代わりを依頼された旨を述べ、高梨も自らが運転していたことを認めたことをうけて呼気検査を行ったところ基準値を超えるアルコールが検出された、という流れのようだ。

産経ニュース2018年1月13日の記事*10

飲酒運転自体が今日の日本では許されないことだが、仮にそのうえ物損事故を起こし身代わりの依頼までしたということになればきわめて悪質である。特に身代わりの依頼は健全な社会人ならばおよそ出てこない発想だろう。

和歌山県議による脱税(2審判決)

自民党の花田健吉・和歌山県議が、親族から遺産を相続した者らと共謀して遺産の大部分を社会福祉法人へ寄付したように装い相続税約4億9000万円を脱税したとして、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金500万円とする1審判決を支持する内容の2審判決を言い渡されたもの。

毎日新聞2018年2月13日の記事*11

巨額の脱税事件である。ただ、本人が無罪を主張しており、上告の意向も示しているとのことであるため、現時点でその内容についてコメントすることは必ずしも適当でないだろう。

つくばみらい市議による酒気帯び運転

共産党の柿沼友幸・つくばみらい市議が、酒気帯び運転をしたもの。

産経ニュース2018年2月17日の記事*12

こちらは事故等を起こしたのではなく検問にひっかかったもののようだが、先にも述べたとおり飲酒運転自体が今日の日本において許されるものではない。人生を棒に振りかねないのに、なぜ飲酒運転をするのか。理解しがたい。辞職*13

神戸市議による政務活動費詐取

自民党の橋本健・元神戸市議が、印刷業者に架空の領収書を発行させるなどして政務活動費をだまし取ったとして在宅起訴されたもの。

毎日新聞2018年2月19日の記事*14

後述。

神戸市議による政務活動費詐取(1審判決) 

会派「自民党 神戸」に所属していた元神戸市議の岡島亮介、竹重栄二、梅田幸広が、架空の領収書などを用い政務活動費をだまし取ったとして、有罪(岡島については懲役2年6月、執行猶予4年、残る2人についてはいずれも懲役1年6月、執行猶予4年)の1審判決を言い渡されたもの。

朝日新聞2018年2月19日の記事*15

政務活動費の詐取が横行する神戸市議会。異常というほかない。詐取のノウハウのようなものが流通しているのではないかと疑われても仕方のない状況だろう。神戸は私にとって個人的にも多少縁のある都市なので、残念でならない。

長崎県議による福祉施設の「私物化」

自民党の宮内雪夫・長崎県議が理事長を務める社会福祉法人が運営する施設において、少なくとも適切性に疑問のある寄付集めが行われたほか、施設職員について勤務時間のほとんどが宮内の秘書としての活動に充てられるなどしていたもの。

NHK NEWS WEB2018年2月19日の記事(WEB特集)*16

本件については詳細な取材がなされているので、上記記事に直接あたっていただきたい。ただこの種の「私物化」は、程度の差こそあれ少なからぬ政治家が行っているのかもしれない。こうした横暴をどのように減らしていくか。難しい問題である。

おわりに

以上、地方政治家の不祥事をまとめた。予想以上に多く「自民」の文字が並ぶ結果となったが、当然のことながら私が特段の選別を行ったわけではない。少なくとも違法性が高いと思われるものについてはおおむね拾ったつもりであるが、遺漏があればご指摘いただけると幸いである。

*1:http://www.sankei.com/west/news/171204/wst1712040075-n1.html

*2:https://mainichi.jp/articles/20171220/k00/00e/040/261000c

*3:https://www.asahi.com/articles/ASKD83DVQKD8TZNB003.html

*4:http://www.sankei.com/region/news/171212/rgn1712120066-n1.html

*5:https://www.asahi.com/articles/ASKDD33WDKDDPGJB001.html

*6:https://mainichi.jp/articles/20171219/k00/00e/040/213000c

*7:http://www.sankei.com/politics/news/171225/plt1712250020-n1.html

*8:https://www.asahi.com/articles/ASL195FCNL19OIPE01V.html

*9:http://www.sankei.com/west/news/180130/wst1801300060-n1.html

*10:http://www.sankei.com/affairs/news/180113/afr1801130017-n1.html

*11:https://mainichi.jp/articles/20180214/k00/00m/040/095000c

*12:http://www.sankei.com/affairs/news/180217/afr1802170017-n1.html

*13:http://mainichi.jp/articles/20180220/ddl/k08/010/350000c

*14:https://mainichi.jp/articles/20180219/k00/00e/040/301000c

*15:https://www.asahi.com/articles/ASL2L5SDXL2LPIHB00Q.html

*16:https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0222.html