2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

公共の福祉とリベラル(4)

「公共の福祉」を人権に内在するものだとする考え方を説明し、これがリベラルも支持する現在の通説的な立場であると述べました。 最後にケーススタディーとして、自民党の憲法改正草案*1を見てみましょう。現行憲法中「公共の福祉」という文言が用いられてい…

公共の福祉とリベラル(3)

「公共の福祉」を人権に内在するものと捉えるかどうか、という視点を提示したうえで、まずは人権の外にあるものだとする考え方について紹介しました。 しかし、今なおこうした考え方を支持するという人はあまりいません。それは、こうした考え方が「公共の福…

自由主義が不自由を招く?

以下の記事とそれに対する反応を読みました。 どんどん清潔になっていく東京と、タバコ・不健康・不道徳の話 - シロクマの屑籠 はてなブックマーク - どんどん清潔になっていく東京と、タバコ・不健康・不道徳の話 - シロクマの屑籠 この手の話題でいつもお…

公共の福祉とリベラル(2)

人権も決して無制約というわけではない。そして、その制約を論じる際に出てくるのが「公共の福祉」であるということを述べました。 「公共の福祉」の意味をめぐってはこれまでに多くの議論がなされていますが、本記事ではその詳細に立ち入らずポイントのみを…

公共の福祉とリベラル(1)

憲法は、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」として保障しています。このことを規定した憲法11条を引用しておきますので、確認してください。 11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵す…

外国人の地方参政権とリベラル(2)

地方自治体レベルの参政権については、国政レベルの参政権とは異なる観点からの憲法上の要請があり、外国人にもこれを認めることができるかどうか議論の余地があるという話をしました。 最後に、この問題について自民党の改憲草案*1 がどのように考えている…

外国人の地方参政権とリベラル(1)

以前リベラルの多くは国民主権を支持していると述べましたが、地方参政権については微妙なところがあります。国政レベルの参政権が国民のみに与えられることは国民主権の原理から自然なことですが、地方自治体レベルの参政権についても同じく国民のみに与え…

知識の足りない人が他人に「知識が足りない」と嘯くネット社会

ちょっとした地獄のような きっとアルファなブックマーカーになるためには、日々生起するさまざまな出来事にいちいちコメントをつけ、観客に少しでも多く「この人は物事をよく知っている」と思ってもらわなければならないのでしょう。そのご苦労が大変なもの…

外国人の人権とリベラル(2)

リベラルも判例*1と同様、基本的人権の保障は、権利の性質上国民のみを対象としているものを除き外国人にも及ぶと考えているけれど、重要なのはどのような人権がどの程度保障されるかということだ、と述べました。 一例として紹介した判例を少し詳しく見てみ…