選挙雑感

衆議院選挙の結果が出た。

自民は議席を2つ減らし、予想していたよりは伸び悩んだ印象。逆に共産は21議席を獲得し、単独での議案提出が可能となった。大躍進と言ってよいだろう。

沖縄の4選挙区全てにおいて自民が敗北したことも、特記に値する。これは自民に対する、というよりは本土に対する異議申立てとして、本土に住む私自身も真摯に受け止めねばならないと思う。

さて伸び悩んだとはいえ、自民は291、公明は35と、両党で総議席の3分の2を上回る議席を獲得したこの結果は、与党の大勝と言うべきだろう。そうなると、俄然問題となってくるのが憲法改正である。

安倍は、今回の選挙結果を受けて憲法改正への意欲を示した*1集団的自衛権をめぐる議論を見ても、改憲の歯止めとして公明党がまったく頼りにならないことは明らかとなったから、護憲勢力にとって次回の参議院選挙は絶対に負けられない、まさに正念場となるだろう。

憲法改正には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成と、国民の過半数の賛成が必要となる。したがって、参議院においても改憲勢力が総議員の3分の2以上という多数を占める必要があるのだが、このハードルは見た目よりもずっと低い。

上記のとおり公明党改憲の歯止めとしてあてにできない。

維新の党も改憲に積極的である。維新は今回議席を減らしたものの、その傷はわずか1議席と最小限に抑えられた。次回選挙で橋下が出馬すれば、党としてもかなりの議席をとるだろう。そしてその際、維新が自民の改憲案に賛成することはほぼ確実だと思われる。投開票前日の民主批判含みの「敗北宣言」*2や、選挙後の会見での「僕は民主と自民をどちらかと言われたら自民を応援します」との発言*3は、その布石のようにさえ私には見える。

民主党も、改憲に対する党内の姿勢はさまざまで、野党再編によってその一部が改憲勢力に加わることは十分にありうる。

このように、護憲勢力は次回の参議院選挙において、自民だけでなく公明や維新、場合によっては民主の一部とも戦うことになる。率直に言って、むしろ護憲勢力にとって苦しい戦いとなる可能性が高いだろう。

国民投票については、測りかねる部分もあるが、それほど高いハードルとはならないだろう。国民の多くは、憲法について深く学んでおらず定見を有していない。生活に直結する問題でないことも相俟って、時の政府が継続的にキャンペーンを行えば、どちらにでも容易に傾くのではないかという気がする。 

以上のとおりであるから、ここ数年のうちに憲法が改正される可能性は決して低くない。戦後日本のあり方を大きく転換するような決断がなされるかもしれないという緊張感をもって、各党の動きを注視していきたい。