天皇制を終わらせたいという気持ち

こんな匿名記事に接しました。

はてブはみんな天皇を信仰しているんだなぁ

退位関係の記事についたブックマークコメントを見て、「みんな無邪気に天皇を信仰しているんだな」との感想を抱いたというもの。信仰云々はさておくとしても、このひと月ほどの世間の異様な盛り上がりを見ていると、たしかに少々不安になるほどでしたね。

くる日もくる日も(元)天皇の話題をとりあげ続けるテレビ。といってもそれほどネタがあるわけでもないものだから、壊れたラジオのように(元)天皇と(元)皇后とのなれそめなんかをくり返すんですよね。「テニスコートの出会い」の話あたりは、それほどテレビを見ているわけでもない私でさえ、このひと月の間に3回くらい聞かされたんじゃないかな。

NHKも、驚くような「報道」をしていました。(元)天皇伊勢神宮参拝を報じる際に、「皇室の祖先の『天照大神』がまつられる伊勢神宮」とのたまったのでしたか*1。以前から、NHKに限らず日本の報道が皇室の人間に「陛下」「殿下」などの敬称を用い、その言動を(「○○した」でなく)「○○された」などと敬語で表現するのはいかがなものかと思ってきましたが、今回の件はそんなレベルを軽々と超越しており、なんというか、本当に「驚いた」としか言いようのない出来事でした。

私は、天皇制は将来的には廃止されるべき制度ではあるものの、当面はなりゆきに任せていればいいかな、と思ってきました。

廃止されるべきであると考える理由は単純で、天皇制が門地による差別そのものであり、すべての個人を人間として等しく尊重するべきであるという私の考え(それは日本国憲法の底流をなす精神でもあると思いますが)と相容れないからです。 

一方で当面はなりゆきに任せてもよいと考える理由は、今のところ多くの国民が天皇制を支持しているように見えるからです。(元)天皇が各地を訪問し、その土地の人びとに声をかけるとき、声をかけられた人びとがときに感きわまって泣き出すほどに喜ぶ様子を、私はテレビを通じて何度も見てきました。基本的に天皇制によって不利益な取扱いを受けることになるのは一般国民の側であり、その国民自身がこれほどまでに天皇(ひいては天皇制)をありがたがっているのであれば、少なくともすぐに天皇制を廃止するまでの必要はないかな、と考えてきたのです*2

しかしこのひと月ほどで改めて自覚したのですが、こうした私の考え方は、あることを前提としていたのですね。すなわち、天皇をありがたがっているのは基本的には高齢者であり、放っておけば勝手に熱狂は収束に向かう、ということです。そしてこれは、どうやら誤っていた。このひと月ほどの様子を見る限り、明らかに老いも若きも熱狂していますから。そりゃそうでしたね、考えてみれば。各種メディアがあれだけ連日天皇天皇がとくり返しているのだから、黙って見ていればこの差別的な制度への支持は再生産される。当然でした。

天皇制が門地のみによってある個人に特別の地位を与えるという制度であり、平等な個人の尊厳をふみにじるような要素を本質的に有している以上、国民の多数がさして痛痒を感じていないとしても、それはいずれ廃止されねばなりません。そしてその実現は、放っておいてもいずれ達成されるというものでは、必ずしもなかった。そのことを明確に認識することができたので、今後は機会があればもう少し強く自身の主張を打ち出していこうと思います。

天皇制反対。 

*1:https://www.buzzfeed.com/jp/keiyoshikawa/nhk

*2:なお、やたらと天皇の重責を強調する方がいますが、そうした方のほとんどが天皇は大変だ天皇は大変だと言いながら天皇制を支持しておられるのは全く理解できません。天皇制がそれほどの重責・負担を天皇に押しつけるものだというならば、そんな制度は直ちに廃止するべきでしょう。