外国人の人権とリベラル(1)

日本国憲法は第3章で基本的人権の保障について規定していますが、その表題は「国民の権利及び義務」となっています。そこでこの「国民」という文言をとらえて、「基本的人権が保障されるのは日本国民だけだ」と主張する人が、ときおり見受けられます。

しかし基本的人権のうちの少なからぬ部分は、人が人として生まれたことによって当然に認められる、国家を前提としない権利です(たとえば、自己の生命に対する権利など)。それゆえ、基本的人権が日本国民にしか保障されないと考えることは妥当ではありません。判例*1も、「憲法第三章の規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」としています。

リベラルも、こうした判例の考え方に総論としては賛成しています。しかしここで重要なのは、では具体的に外国人に対してどのような人権がどの程度保障されるのか、ということです。(続く)

*1:最大判昭和54年10月4日(民集32巻7号1223頁)。