雑記

私の無力

ある記事へのブックマークコメントで、自分が生まれる前に起こった出来事について謝るということの意味について過去記事を紹介した*1ところ、id:enderukuさんより以下のようなコメントをいただいた*2。 身勝手な発言だなぁ。どうせ中韓がやった事に対しては…

憲法学者の無力

閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会の名簿に芦部信喜の名があることを知った。 昭和50年、当時の首相三木武夫が、はじめて8月15日に靖国神社を参拝した。このとき三木は、私人として参拝することを表明し、公用車を用いず、記帳の際にも「内閣総理大臣」…

窃盗症(クレプトマニア)と定職の確保

日本弁護士連合会編『日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題〈平成24年度研修版〉』(第一法規、2013年)に収められている竹村道夫「窃盗癖の概念と基礎――臨床と弁護活動の協力について――」を読んだ。 日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題[平成24年度研修版]…

自然権と天賦人権論

自然権と天賦人権論について、以下のようなブックマークコメントを見かけた。 id:Erorious_BIG←日英米など自然権を最上としている国々は天賦人権論も立憲主義も否定してるけど何の問題も無い。 はてなブックマーク - m-matsuokaのブックマーク - 2015年7月10…

窃盗症(クレプトマニア)について

はじめに 以下の記事を読んだ。 摂食障害の万引き、治療と刑罰のどちらなのか / 永田利彦 / 精神科医 | SYNODOS -シノドス-摂食障害と万引きとの関係が注目されるのは喜ばしいことだ。 私は「摂食障害の部分症状としての万引き」を特に窃盗症(クレプトマニ…

半年を振りかえって

1年も半分が終わろうとしている。 年始に述べた抱負のうち、曲がりなりにも実践できているのは「丁寧な仕事をする」ことくらいであり、「他業種との交流」「若者との交流」を深めることはほとんどできていない。 ここ1か月ほどは、「丁寧な仕事」をできてい…

「自由には責任が伴う」

自民党の稲田朋美が、集団的自衛権の問題について違憲かどうかの議論を継続することに意味がないという趣旨の発言をしたそうだ。その理屈は以下のようなものだ。 一見明白に違憲というとき以外は、日本の存立にかかる安全保障については、国会と内閣に任され…

安倍首相の「靖国参拝」観

新しい国の靖国参拝観 安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』(文春新書、2013年)を読んだ。 新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903) 作者: 安倍晋三 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/01/20 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この…

約70年越しで実現した平等

横田啓子のベアテ・シロタ・ゴードンに対するインタビュー「私はこうして女性の権利条項を起草した」(井上ひさし・樋口陽一編『『世界』憲法論文選』に収録のもの。初出は『世界』1993年6月号)を読んだ。周知のとおり、ベアテ・シロタ・ゴードンは憲法草案…

日中韓の歴史問題と謝罪(2)

先日は、「相手が納得するまで(何回でも)謝罪するべき」だとする考え方が、法的責任とは異なる観点から出るものであることについて述べた。 今日は、「当時生まれてさえいなかったわたしが謝罪する必要はない」とする考え方について述べたい。こうした考え…

日中韓の歴史問題と謝罪(1)

今月の初めごろ、韓国高官が、日本との歴史問題に関して、「100回でもわびるべき」だと述べたことが報じられた*1。 また先日は、村上春樹が、日中韓の関係について、「相手が納得するまで謝罪するべきではないか」と述べたことがとりあげられた*2。 今回は、…

フェミニズムの怒りに寛容を求めることはできるのか

id:greg_yamada(グレッグ山田)さんの以下の記事を読んだ。 「告発されたときに真摯に対応する」のは非現実的だ - グレッグ山田の文句百万回グレッグ山田さんの記事は、読ませる文章で、しかも考えるきっかけを与えてくれることが多いので、楽しみにしてい…

生活保護の開始申請について

数々の痛ましい事件によって、生活保護の開始申請を受け付けようとしない、いわゆる「水際作戦」が許されないものであるということは多くの人に知られるようになった。 ところで、許されない申請の受付拒否とは、具体的にはどのようなものであるとお考えだろ…

盗撮などで有罪の犯人が「それでも映像は捨てない」と言い張ったら

以前、id:gryphonさんの以下の記事を読んだのだった。 盗撮などで有罪の犯人が「それでも映像は捨てない」と言い張った時、どうなるの? - 見えない道場本舗 記事の内容は、表題どおり「盗撮などで有罪の犯人が映像を捨てないと言い張った場合にどうなるのか…

日弁連の主張はどこまで本気なのだろう

日本弁護士連合会(日弁連)は、誰もがご存知だろう。 しかし、日本弁護士政治連盟(弁政連)についてはご存知でない方も多いのではないか。かくいう私自身、弁政連とは今のところほぼ関わりのない人間であって、本来はこのような話題をとりあげるべき立場で…

憲法の学び方

この時期、4月まですることがないという方も一定数いらっしゃるのではないかと思う。そうした方には、この機会に憲法を学ぶことをご提案する。 先日の報道*1を見ても分かるように、ここ数年のうちに国民投票が行われる可能性は低くない*2。責任ある投票をす…

「最後の仇討ち」と仇討ち禁止令

高野の仇討ち 赤穂と言えば四十七士の討ち入りで有名である。 ところで、「高野の仇討ち」という事件が日本最後の仇討ちとして喧伝されている*1そうだが、これもまた赤穂の人士が起こしたものらしい。 発端は1862年。当時赤穂藩では、藩主継嗣問題と藩政改革…

憲法が未完であるということ

奥平康弘先生死去の報に接した*1。 記事では、「憲法はつねに未完であり、世代を超えていきいきとした社会をつくるために憲法は必要なのだ」という先生の言葉が紹介されていた。 憲法が未完であるとはどういう事か。 この点に関して、先生は『未完の憲法』の…

ヘイトスピーチ規制によって表現の自由が保護されるという視点

ヘイトスピーチ規制が一面において表現の自由を制約するものであることは紛れもない事実だ。そのため、ヘイトスピーチ規制を認めるか、認めるとしてどのような内容の規制とするべきか、ということについて、私自身態度を決めかねている。 しかし、少なくとも…

リベラルとダブル・スタンダード

リベラルの主張に対する批判類型の1つに、「(リベラルの)ダブル・スタンダードを難ずる」というものがある。「自由や権利の尊重をとなえながら、気に入らない者の自由や権利を抑圧している」という類の批判だ。 まず前提として、こうした批判がされる場合…

今年の抱負

丁寧な仕事をする 他業種(特に福祉関係)との交流を深める 若者との交流を深める 単著も出せれば出したい。 はてなでも、福祉関係の方や若い方がいらっしゃれば、気軽に声をかけていただけると嬉しいです。

京都朝鮮学校襲撃事件――事件篇

本記事について 今月9日、京都朝鮮学園が、ヘイトスピーチによる街宣活動で授業を妨害されたなどとして、在特会とその会員らに対して損害賠償などを求めた裁判で、最高裁が在特会側の上告を棄却し、在特会側に約1200万円の賠償を命じた判決が確定した*1。 こ…

「辻元さんって在日朝鮮人なんですか?」

引き続き選挙に関連して。 辻元清美が当選した。 暴漢にも負けず! 逆風が吹きまくっていた大阪10区・辻本清美が1位当選できた涙の同情票 - ネタりか 特に思い入れのある人物でもないのだが、公示の前日に、辻元と山本一郎との対談記事を読んで驚いたこと…

2件の交通事故とその注目度

引き続き選挙に関連して。 くだらない話題でブログを汚すのは気が進まないのだが、誰かが指摘しておく必要はあると思うので記しておく。 今回の選挙期間中、民主陣営の選挙カーが歩行者をはねたと報じられた。 選挙カー、歩行者はねる 仙台、候補者は同乗せ…

選挙雑感

衆議院選挙の結果が出た。 自民は議席を2つ減らし、予想していたよりは伸び悩んだ印象。逆に共産は21議席を獲得し、単独での議案提出が可能となった。大躍進と言ってよいだろう。 沖縄の4選挙区全てにおいて自民が敗北したことも、特記に値する。これは自民…

大衆の二側面

id:greg_yamada(グレッグ山田)さんの以下の記事を読んだ。 辻元のデマが無くならず、小学生を騙るアホも居なくならない理由 - グレッグ山田の文句百万回 大衆社会の病理をコンパクトかつ分かりやすく指摘した良記事であると思う。 ただ、大衆概念について…