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稲田先生お気の毒、な事案の可能性はありますがね

以下の記事を読んだ。 稲田朋美防衛相、森友学園の訴訟を担当していた。過去の国会答弁と食い違い 要するに、稲田朋美が森友学園の事件を受任したことはないと言っていたところ、同学園の訴訟代理人として稲田朋美が名を連ねている準備書面が出てきた、とい…

過労と脳・心臓疾患

先日の記事で、いわゆる過労死ラインを説明するために、現行の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の 認定基準」*1(以下、「現行基準」という。)に言及した。これが脳・心臓疾患を労災認定する際の基準として厚生労働省によって…

時間外労働の基礎知識

はじめに 今国会では、「働き方改革」が重要なテーマとなっている。報道によれば、政府は、時間外労働の上限について、月平均60時間・年間最大で720時間とし、繁忙期であっても年間720時間を超えないことを前提に、月最大100時間で、なおかつ2か月の平均で月…

とりあえず「150万円払わせた」と言うのはやめませんか

はじめに 横浜市のいじめの件が気になっている。 原発事故で自主避難をした児童(以下、「当該児童」という。)が、同級生から「賠償金あるだろ」などと言われ、遊興費等として約150万円を支払わされた、と主張している件だ。 https://www.buzzfeed.com/kota…

アパ本への「反論」なのです(私見)

はじめに 少し前に、アパホテルが南京大虐殺を否定する内容の書籍を客室に設置していることなどが海外で伝えられ、大きな話題となった*1。これをうけて、アパは同書籍の該当部分を公開していたのだが*2、今般、id:scopedogさんが、同書籍該当部分に対する反…

「言論弾圧」が販促に使われる時代

千葉麗子のサイン会中止 少し前に、千葉麗子のサイン会が抗議の電話等によって中止になったというニュースがあった。 千葉麗子さんの「くたばれパヨク」サイン会 抗議電話で「開催せず」 有田芳生参院議員「常識的な判断」 千葉さん「言論弾圧だ」(1/3ペー…

少女像設置の件における日本側「戦犯」

少女像設置と日韓合意 釜山の日本総領事館前に市民団体が慰安婦少女像を設置した件で、日本側も駐韓国大使を一時帰国させるなどの対抗措置をとることを発表し、問題が深刻化しているようだ*1。残念なことである。 平成27年12月28日の日韓外相会談では、いわ…

「知らなかったとか関係ない」?

id:ohnosakiko(以下、「大野さん」という。)の以下の記事を読んだ。 「教えて下さってありがとうございました!」と「悪いということを知らなかったんだから」 - Ohnoblog 2 詳細は元記事を参照してもらいたいが、要するにレポートの代筆をめぐるいざこざ…

訴訟能力回復の見込みがない者を被告人の地位にとどめおく理由はない

以前の記事でとりあげた問題について、平成28年12月19日、最高裁が判断を示した*1。詳細は直接当該記事を参照してもらいたいが、おおむね以下のような問題である*2。 被告人が心神喪失の状態にあるとき、刑訴法314条1項によって公判手続は停止される*1。この…

トランプ勝利の結果が都合よく解釈されていないか

はじめに 以下の記事を読んだ。 【現地ルポ】リベラル層の「空気」に、トランプ支持者は沈黙を強いられる 記事の内容はタイトルに尽きている。リベラルが反対の意見を抑圧しており、トランプ支持者は沈黙を強いられてきたという、選挙後よく見かける筋立てだ…

「ポリコレ」騒動について(1)

はじめに 先日、以下の記事を読んだ。 ポリコレについてブコメしたらid:kyo_juさんに特定するぞと脅された話 この記事(以下、「元記事」という。)を発端に、一部界隈で大騒ぎとなっていたようだ。個人間の諍いに首を突っ込むのはあまり気が進まないのだが…

被告人という呪縛

はじめに 先日の記事で言及した、公判手続が停止したまま長期にわたって刑事被告人の地位にとどめおかれうるという問題について。なお本記事では、刑事訴訟法を「刑訴法」と表記する。 被告人が心神喪失の状態にあるとき、刑訴法314条1項によって公判手続は…

渋谷暴動と時効

平成28年11月10日追記:元記事のリンクが切れてしまったようなので、元記事のはてなブックマークページをはっておく。 先日、以下の記事を読んだ。 はてなブックマーク - 「渋谷暴動」で警察官殺害 手配の過激派の男に懸賞金 | NHKニュース 昭和46年(1971年…

ブログのデザインを変更した

ブログのデザインテーマを「レトロポップ」から「Bordeaux」に変更した。

「押しつけ憲法」論は誰も問題にしていないのか

はじめに 「誰も問題にしていない」わけはない 「主流派は問題にしていない」という程度の意味であると解した場合 「主流派は問題にしていない」とすら考えにくい 自由民主党の使命 自由民主党の近時の動き 安倍の発言 小括 仮に「主流派は問題にしていない…

出版年の訂正

事情があって過去記事を読み返していたところ、芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』(岩波書店、第5版)の出版年を誤って記載していることに気づいた。 従前は、 ×「芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』(岩波書店、第5版、2007年)」 としていたが、正しくは、 …

川崎市のヘイトデモ禁止の仮処分について

川崎市のヘイトデモ禁止の仮処分について、簡単に記しておこうと思う。 Counter-Racist Action Collective • [CRAC KAWASAKI] ヘイトデモ禁止仮処分決定書 事案の概要 本件は、川崎市の在日コリアンが集住する地域で、民族差別解消に取り組み社会福祉事業を…

井上武史の不思議な主張

不思議な主張 井上武史の以下の記事を読んだ。 憲法論議の正常化は可能なのか - 井上武史(九州大学大学院准教授) (1/2) 井上は、与党に対する「立憲主義違反」との批判に対し、その内実にまったく立ち入ることなく、このような批判は無意味であるとする。…

いかがわしさの正体

nogawamさんの以下の記事を読んだ。 歴史修正主義とレイシズムを考える: 歴史修正主義は何によってそう認定されるか 歴史修正主義的な主張とはいかなるものか、ということについて説明する記事であるが、これを読んで、私が 先日の記事で述べた、いわゆる芦…

芦田修正について

※本記事における引用にあたっては、読みやすさを考慮して表記等を改めた部分がある。 芦田修正とは何か 憲法9条の解釈にあたっては、いわゆる芦田修正が問題とされることがある。 周知のとおり、芦田修正とは、帝国憲法改正案委員小委員会が帝国憲法改正案、…

品位を欠く政治家

平成28年2月24日の中央公聴会で公述人に暴言を吐いたとして、衆議院予算委員会が同月25日、おおさか維新の会の足立康史に厳重注意すること等を決めた旨報じられている*1。 この件自体は報道に接し、問題の中央公聴会を確認するまで知らなかったのだが、「足…

緊急事態条項と押しつけ憲法論

はじめに 今夏の参院選では憲法改正が争点になる。改正の具体的な項目については不確定な部分もあるが、おそらくは緊急事態条項が俎上にのせられることになるのだろう。そこで、夏までにいくつか緊急事態条項に関する記事を書こうと思う。今回は、その制定経…

「レッテル貼り」という魔法のことば

ナチスのレッテル? 平成28年1月19日の参議院予算委員会において、福島瑞穂が安倍晋三に対する質問の中で、自民党の憲法改正草案*1第九章のいわゆる緊急事態条項について、「内閣限り(の決定)で法律と同じ効果を持つことが出来るなら、ナチスの授権法とま…

香山リカ「批判」の歪さ

香山リカ「批判」 一部界隈で、香山リカ「批判」が盛り上がっている。 香山は昨日銀座で行われた慰安婦問題での日韓合意に反対するデモへの抗議行動を行っていたところ、「批判」者は、その際の香山の表情や抗議意思の表明として中指を立てたこと等をとりあ…

条文の文言からの乖離に関する覚書

平成28年1月8日の衆議院予算委員会において、枝野幸男が安倍晋三に対して、臨時国会の件について糺していた。昨年10月半ばに、憲法53条の規定に基づく、総議員の4分の1以上による臨時国会召集の要求があったにもかかわらず、その後ついに安倍内閣が臨時国会…

今年の抱負(2016年)

年が明けた。 学生でなくなってから感じ続けていることだが、為すべきことが山積する中で、自らの専門以外の分野を修める時間を確保することはとても難しい。専門の分野でさえ、直面する問題に対処する限りにおいての調査・研究となりがちであり、視野狭窄に…

わが国における法令違憲判決まとめ

本記事について 尊属殺重罰規定事件 薬事法距離制限事件 議員定数不均衡事件(昭和51年) 議員定数不均衡事件(昭和60年) 森林法共有分割制限事件 郵便法免責規定事件 在外邦人選挙権制限事件 非嫡出子国籍取得制限事件 非嫡出子法定相続分規定事件 女子再…

今年執行された死刑について

今日午前、津田寿美年と若林一行の死刑が執行されたとのこと。 6月の神田司とあわせて、今年は3件の死刑が執行されたことになる。 そして、このうちの2件、津田と神田については、控訴の取下げによって死刑が確定したものである。つくづく異常な割合だと思う…

左折の改憲と現実主義

はじめに 少し前に、左折の改憲論(新9条論)というものに関する記事をいくつか読んだのだった。 左折の改憲論とは要するに、こういうことらしい。現行の憲法9条からすれば、自衛隊は違憲のはずである。(違憲のはずの)自衛隊の存在を容認しつつ9条を奉ずる…

死刑事件と上訴

私は、以前の記事において、さしあたりわが国が目指すべきは、死刑事件における手続保障の充実である旨を述べた*1。今回は手続保障との関連で、死刑事件においては上級審での審理を必要的なものとするべきではないか、ということについて述べたい。 周知のと…

記事の統合について

本ブログでは、内山奈月・南野森『憲法主義 条文には書かれていない本質』という書籍を紹介する記事と、同書中で述べられている違憲審査制についての説明を批判する記事とを公開していた。 しかし今般、これらをそれぞれ独立の記事として公開する意義はない…

訂正勧告と大学教員のあり方などについての雑感

はじめに 以下の記事とそれに対するブックマークコメントを読んだ。 「安倍はやめろ」「学長やめろ」で停職3ヶ月についての見解 on Strikingly はてなブックマーク - 「安倍はやめろ」「学長やめろ」で停職3ヶ月についての見解 on Strikingly 記事によれば、…

本当に「被害者の立場から」死刑存置を主張しているのか

先日の記事を書いていて、死刑存置論者の被害感情に対する姿勢について、残念に感じたやりとりを思い出したので、記しておく。平成26年4月に沖縄で行われたシンポジウムにおける、釜井景介と本江威憙とのやりとりである*1。 〇釜井氏 ……被害者の遺族の方が裁…

「普遍的な意味での被害感情」という奇妙な概念

森炎「自由刑と死刑――死刑制度肯定の立場から」(判時2266号24頁以下)を読んだ。 死刑存置論者と手続保障 表題から分かるとおり、森は死刑制度肯定の立場であり、「今日死刑制度を肯定する者が、死刑制度についてどのように考えているのか」ということが多…

判例時報の死刑問題特集

判例時報で、2号にわたって死刑問題についての特集が組まれていた。その内容と感想について、簡単に記しておく。 「特集 死刑制度を考える【上】」 『判例時報』2264号(平成27年9月21日号)が、「特集 死刑制度を考える【上】」。 死刑制度に関する平成26年…

ブログのデザインを変更した

ブログのデザインを「Handwriting」から「レトロポップ」に変更した。

テキサス、死刑、冤罪

アラン・パーカー監督『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003年公開)を見た。 ライフ・オブ・デビッド・ゲイル [DVD] 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル 発売日: 2013/12/20 メディア: DVD この商品を含むブログを見る 女性記者ビッツィー(ケ…

死刑事件と手続保障

『自由と正義』66巻8号(2015年8月号)では、「死刑廃止を考える」というテーマで特集が組まれていた。掲載論文は以下のとおり。 ティム・ヒッチンズ「死刑制度に関する真剣な議論に向けて」 小川原優之「日本における死刑廃止、死刑執行停止についての議論…

私の無力

ある記事へのブックマークコメントで、自分が生まれる前に起こった出来事について謝るということの意味について過去記事を紹介した*1ところ、id:enderukuさんより以下のようなコメントをいただいた*2。 身勝手な発言だなぁ。どうせ中韓がやった事に対しては…

憲法学者の無力

閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会の名簿に芦部信喜の名があることを知った。 昭和50年、当時の首相三木武夫が、はじめて8月15日に靖国神社を参拝した。このとき三木は、私人として参拝することを表明し、公用車を用いず、記帳の際にも「内閣総理大臣」…

窃盗症(クレプトマニア)と定職の確保

日本弁護士連合会編『日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題〈平成24年度研修版〉』(第一法規、2013年)に収められている竹村道夫「窃盗癖の概念と基礎――臨床と弁護活動の協力について――」を読んだ。 日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題[平成24年度研修版]…

自然権と天賦人権論

自然権と天賦人権論について、以下のようなブックマークコメントを見かけた。 id:Erorious_BIG←日英米など自然権を最上としている国々は天賦人権論も立憲主義も否定してるけど何の問題も無い。 はてなブックマーク - m-matsuokaのブックマーク - 2015年7月10…

窃盗症(クレプトマニア)について

はじめに 以下の記事を読んだ。 摂食障害の万引き、治療と刑罰のどちらなのか / 永田利彦 / 精神科医 | SYNODOS -シノドス-摂食障害と万引きとの関係が注目されるのは喜ばしいことだ。 私は「摂食障害の部分症状としての万引き」を特に窃盗症(クレプトマニ…

半年を振りかえって

1年も半分が終わろうとしている。 年始に述べた抱負のうち、曲がりなりにも実践できているのは「丁寧な仕事をする」ことくらいであり、「他業種との交流」「若者との交流」を深めることはほとんどできていない。 ここ1か月ほどは、「丁寧な仕事」をできてい…

京都朝鮮第一初級学校の公園「不法占拠」

私は、確定判決のある事件については、判決文を読んでその事案を把握したような気になってしまう傾向がある。この点については、常々自戒せねばならないと思っているところだ。あくまでも裁判所は事案の解決に必要な限度で事実認定等を行うにすぎない。殊に…

「自由には責任が伴う」

自民党の稲田朋美が、集団的自衛権の問題について違憲かどうかの議論を継続することに意味がないという趣旨の発言をしたそうだ。その理屈は以下のようなものだ。 一見明白に違憲というとき以外は、日本の存立にかかる安全保障については、国会と内閣に任され…

安倍首相の「靖国参拝」観

新しい国の靖国参拝観 安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』(文春新書、2013年)を読んだ。 新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903) 作者: 安倍晋三 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/01/20 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この…

約70年越しで実現した平等

横田啓子のベアテ・シロタ・ゴードンに対するインタビュー「私はこうして女性の権利条項を起草した」(井上ひさし・樋口陽一編『『世界』憲法論文選』に収録のもの。初出は『世界』1993年6月号)を読んだ。周知のとおり、ベアテ・シロタ・ゴードンは憲法草案…

カテゴリーの新設等

新たに「死刑」のカテゴリーを設けることにした。 これに伴って、以下の4記事はカテゴリーを変更した。 絞首刑は苦痛が少ないのか - U.G.R.R. 無期懲役のいま - U.G.R.R. 被害者の命と加害者の命 - U.G.R.R. 量刑と被害感情 - U.G.R.R. また、過去記事につい…

報道と法律用語

小説のドラマ化中止裁判でNHKが控訴したという朝日新聞デジタルの記事を読んだ。事件自体に興味はないが、記事中にある以下の表現が気になった。 4月28日に東京地裁であった判決では、「(原作者から)脚本の承認がされていない以上、許諾契約が成立し…